いち

文と絵 なかこう たけよし

道具 マウス

PC まっく

協力 仏師 一行さん

制作 1991年

むかしむかしのむかしから
小さな村に語り継がれてきたお話

ずーっと山の奥には 
大きな木がいっぱいの森があった

誰も入ることのない 
深い静かな山奥である

その山の麓には 
ちいさなちいさな村があって
村人は木こりをして暮らしていた

さん

いつも村の近くの山からだけ 
木を切り出していたそうな

けれど 年に一度だけ 
村の衆は山の奥に入るんじゃ

それは、
鎮守の森のお祭りの時じゃった

村の男たちはみんな白い着物を着て
御神木を採りにいく

よん

今日は 鎮守の森のお祭りだ

みんなでワッショイ!ワッショイ!
山の奥

みんなでワッショイ!ワッショイ!
大きな大きな木を切り出した

子供も大人も 
みんないっしょに
ワッショイ!ワッショイ!
切り出した

その時 
村に偉い修業僧が現われた

山から切り出された御神木が 
光っているのを見つけた

村人たちが見守る中で 
偉い修業僧が木を削る

コツコツ コツコツ木を削る

すると中からとても優しい顔の 
お地蔵さんが現われた

村人たちはみんな 
にこにこしながらで見ていた

ろく

村人は、お地蔵さんを
鎮守様に奉って大切にした

その村は 
いつまでも平和じゃった

その村は 
いつまでも豊かじゃった

みんな いつまでも
ニコニコじゃった

森へ行ってごらん 
木がお話しをしているよ

ザワザワ、カサカサ、
ヒューヒュー、ムゥーン

北風が雪国の話を木に教えている
南風が青い海の話をしている

ザワザワ、カサカサ、
ヒューヒュー、ムゥーン
言いながらうなずいている

だから、木はなんでも知っている。

だから、おしゃべり地蔵さんも 
なんでも知っているんじゃよ。

山の奥には、おしゃべり地蔵さんが
棲んでおるんじゃ

毎日毎日、何処からともなく 
たくさんのお地蔵さん集まって

世界中の子供たちのことや昔の話や
いろんな話をしているという

じゃがなぁ
誰もおしゃべり地蔵さんの姿を
見た者がいないんじゃ

おしゃべり地蔵さんの住まいは 
森の木の中だそうな

槐(えんじゅ)の木が一番棲み
心地がええそうじゃ

おしゃべり地蔵さんが 
おきている昼の森は 
とても楽しいけれど

おしゃべり地蔵さんが 
眠っている夜の森は 
とても寂しい

木を見つめてごらん
心のきれいな人には
お地蔵さんが見えてくるんだよ

木の中のお地蔵さんが 
あなたに微笑みかけてくる

山から切り出された木は
硬くなっていて 
木の中のお地蔵さんが
動けなくなっている

だから、ていねいにていねいに
硬くなった木をノミでコツコツ
取り除いてあげるんだ

心の優しい人が彫ると

優しい顔のお地蔵さんが現われる

悲しい気持ちで彫ると

悲しい顔のお地蔵さんが現われる

お地蔵さんは 
彫る人の心の写し絵だ

あなたの心が 
そのままお地蔵さんになるんだ

村人たちは、
嬉しいことがあると
その嬉しさが
いつまでも消えないように
お地蔵さんを彫る

困った時や
悩んでいる時も
お地蔵さんを彫る

すると、お地蔵さんが
答えを教えてくれるという

木に耳をつけ耳を澄ましてごらん

おしゃべり地蔵さんの声が聞こえてくる

いつもあなたに優しく話しをしている

木が 人に優しいのは

きっと
おしゃべり地蔵さんが

いつも見守っていてくれるから…

おしゃべり地蔵さんに逢いに行こうよ

小さな村が一望できる丘があって

丘の上には
もう誰もいなくなった学校がある

その学校には
心の優しい修業僧が住んでいて
おしゃべり地蔵さんを彫り出している

そこには、優しい顔の地蔵さんが
たくさんいるよ

その修業僧は 
なんと五百体のお地蔵さんを
彫るのだと頑張っている

五百体が完成したら、
村を見渡せる場所に奉るという

むかしむかしのお話しのように
みんながニコニコ暮らせる
豊かで楽しい村になるように…

今日も コツコツ コツコツ 
彫っているよ

このお話は,実際に五百羅漢に取り組んでいる仏師の話をもとに創作しました。

お話の内容は,羅漢(地蔵)さんを彫るときの心構えをご紹介しています。

剣豪・宮本武蔵が心を落ちつけるために仏像を彫ったように,現代人も心をリラックスさせるために仏彫に挑戦されることをお薦めします。

無我の境地はあなたの本来のパワーを
引き出してくれるでしょう

(五百羅漢像は今世紀中には完成予定)
はじめに
 

copyright 1991

経済摩擦、景気低迷、国際貢献、高齢時代、行政改革、政治改革、業界変革、就職難、少子現象など時代のキーワードに暗いものが多いのは時代の変革期だからかも知れません。

 時代の変化は、生活者ニーズの変化を意味しています。それゆえに、いままで進められてきたハードタイプの施設型リゾートは大変困難な場面を迎えています。

 リゾート施設では、数少ない成功例といえる東京ディズニーランドを国内に持ちながらも、それから学び、それを超えることはできないでいます。東京ディズニーランドはソフト型リゾートであることはわかっているのに、他の地域にソフト型リゾートの誕生をみないのはなぜでしょうか。情報時代、ソフト化時代と言われながらも、いまだにハード先行、施設先行型のリゾートしか見ることができません。

 その理由として考えられるのは、目に見えないものの価値を見極め、評価することが難しいので、説明のしやすい施設建設型開発になるのだと思われます。

ソフト型開発のリゾート開発でなければ、多くの施設と同じ憂き目に合うでしょう。

この企画は、新しい時代のニーズを先取りする「ソフト型リゾート構想」です。

将来展望

1. 日本も本当の国際化の時代を迎えようとしている

 物流の国際交流から人的交流、文化交流の時代である。
「不思議の国・ジャパン」の文化は外国人にとって興味深いものです。
日本の日本らしい文化は「禅」であり、精神修養でもある仏彫文化です。
世界各国から、日本人の心を学びに、仏彫にやってくるでしょう。

2. 精神文化の時代がやってくる 
マルチメディア時代は、高度情報社会であり、精神文化の時代でもあります。
そして高齢時代でもあります。高齢時代には、健康で、経済に恵まれた高齢者がたくさんいる時代です。

高齢時代を生きるための、3つの神器は「新3K」で「健康、経済、そして希望」です。
これから高齢者が求めるものは「希望」という精神的充足感です。

自分を見失った現代人は、自分自身を取り戻さなければ自分の人生に希望を見つけることができません。
剣豪・宮本武蔵が気持ちを落ち着け、自分自身を見つめようと一心に仏彫に打ち込んだといいます。
仏彫は、精神時代の重要なレクリエーションといえます。

3. 社会人の90年分の余暇時間を10年間で使う高齢者
これからの高齢者は、文化的活動に多くの時間とお金を使うようになるでしょう。
文化施設や健康増進施設などの平日や日中の空き時間が活用されるなくなります。
高齢者を上手に取り組んだ計画が、施設の健全運営を可能にします。

4. 精神的安らぎこそが最大の価値
現代人の代表的な病気や社会現象に、ノイローゼ、精神病、高齢離婚、帰宅拒否、蒸発、いじめ等々があります。

いま時代が求めているのは、精神的安らぎです。
この安らぎこそが私たち現代人が求めていた究極のものかも知れません。

当計画は、時代の要求に的確に応えます。「無・我・夢・中」になって仏彫に打ち込む時、私達はきっと多くの大切な事を学ぶのだと考えます。

5. リピーターは、感動があるから再度訪れる
何度でも味わいたいのが「感動」です。ディズニーランドがリピーターによって支えられているのは、ディズニーランドには精神的感動と喜びがあるからです。

施設や物からくる肉体的刺激による感動は、必ず馴れがきてしまいますし、入場者を維持するためには、いつも新しい設備のために投資を続けていなければならず、最後には、万策と資金が尽きて施設閉鎖の運命をたどることとなります。

仏彫は、彫り上げた時に感動と喜びと誇り(自慢)を得ることができ、それは飽きることがありません。
自分の作品が展示されていると、家族や友人に見せたいという衝動や、仏彫することの素晴らしさを知人に勧めたいという衝動は押さえることはできません。
何度も訪れ、自分の作品を眺め、他人の作品と比較し、更にもう一度彫りたいという衝動が起きますので、この施設のリピート率は高まります。

6. 歴史的価値のある五百羅漢を中心に
来館者作品は1万羅漢を超える世界的価値になる

本物の仏師による五百羅漢像には、世界から見ても金銭的価値のつけようのない歴史的文化的価値があります。廃校の再利用、街の活性化というだけでなく、街にとっても貴重な財産になるでしょう。

本計画の核となるのは本物の仏師であり、修業僧です。だから、彼の掘り出す五百羅漢は芸術性、歴史的価値から見ても本物であり、本計画は彼無しでは考えられず、彼の協力を得られることは千載一遇のチャンスでありましょう。

仏師一行氏がこの計画に賛同した理由の一つに、多くの人に仏を彫ることの素晴らしさを知って欲しいという思いであり、その事を通して心が清まる感動的な体験をしてもらうことが彼の役割であるといいます。
一般的な布教活動等の宗教活動はなく、新しい文化活動としての捉え方をしています。

自然、科学、経済、哲学、宗教の全ての境界がなくなり、共生の時代を迎えています。
自然から科学や経済を学び、宗教や哲学から常識を学び、本物の中から人生の生き甲斐を見つけようとしています。

この真剣な取り組みから彫った仏像には、作者の人生が彫り込まれ、人の心を感動させるでしょう。
この感動の作品が1万点展示された展示場は、世界に類の見ない価値ある展示場として注目を浴びることでしょう。

しかも、その作者は世界各国の人となり、国際的作品展示場となることでしょう。

著作 なかこうたけよし 1991年